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逃げ場のない状況に肩をがっくりと落としていれば、誰かが後ろからうちの肩に手を置いた。
ゆっくりと顔を向ければ……
「レッツゴー守」
これでもかっ!? っていうぐらいの満面の笑顔のたまちゃんがいた。
その笑顔が今は憎ったらしいんだけど……。
「小鈴ちゃーん!! 一緒に帰ろー!!」
たまちゃんをじと~っと睨んでいれば、間延びした声が飛んできて、横にいた小鈴ちゃんが小さく飛び跳ねた。
うちの制服のシャツをキュッと掴んでくる。
「きゃー!! 金本先輩だー!!」
女子達の甲高い声に目眩を感じた。
あの二人は二人で一組かよ。
「鬼塚!! さっさと帰るぞ!! 早くこねえと裕也をこの教室に置いていくぞ!!」
「今行きます!! 行かせていただきます!! 鬼塚発進します!!」
金本先輩をこの教室に置いてもらわれたら、非常に困る。
小鈴ちゃんがまた泣いてしまうから。
小鈴ちゃんが迷惑するぐらいなら、あの二人と一緒に帰って、小鈴ちゃんを側で守ったほうがいい。
よしっ!!
女鬼塚守、腹は括りました!!
さぁ菊原先輩と帰ってやろうではないか!!
「たまちゃん!! 健闘を祈ってて!!
小鈴ちゃん!! いざ敵陣に出撃するよ!!」
「んな大袈裟な。行ってらっしゃーい」
ひらひらと手を振るたまちゃんに見送られながら、小鈴ちゃんの手を引き教室の入り口に向かった。
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