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「来んのがおせえんだよ」
菊原先輩のとこに意気込み新たに行くと、切れ長の目を向けられてそう言われた。
いやいや、待ってって頼んだ覚えはないんですけど。
あんたが勝手に待ってるだけじゃん。
口にはださずに心の中で悪態をつく。
ここで言葉にしたらなんか言われそうだしね。
うちはさっさと帰ってこの先輩から解放されたいんだよ。
「何か言いたげだな? なんだよ?」
「別に何も言いたくないです。早く帰りましょう」
こいつ……なかなか感が鋭いな。
早く帰りたい一心のうちは冷たく菊原先輩に言うと、小鈴ちゃんの手を引っ張って歩き出した。
廊下に並ぶようにいる女子達の目の前を大股で通っていく。
……睨まれたって、こわくないっつーの。
うちと小鈴ちゃんが通る時はそりゃあもう鬼の形相……言い過ぎか。怖い顔をするくせに、菊原先輩と金本先輩が通るときは気持ち悪いぐらいの笑顔に変わる。
その変わりように、女の恐ろしい部分を見たよ。
うちも女だけど。
「小鈴ちゃん、手つなごっか?」
校門を抜ければ、小鈴ちゃんの前に手をだす金本先輩。
「え……あああの……」
小鈴ちゃんは当然のように困りだし、うちの背中に隠れてしまう。
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