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「守ちゃんはあっち?だとしたらここから守ちゃんは帰り道一人にな」
「鬼塚帰ろぜ」
いきなり腕を引っ張られ、不覚にも菊原先輩にぶつかってしまった。
全身を襲う不快感に、体が固まってしまう。
「え? なに言ってるのー? 恭もこっぶくぅっ!?」
金本先輩は最後まで言い切ることはできなかった。
うちを掴んだままの菊原先輩が、金本先輩の横腹に強烈な蹴りをおみまいしたのだ。
体をプルプルと震わせて、横腹を押さえる金本先輩。
うちの時といい、菊原先輩の時といい、災難続きだね。
だけど哀れんだりはしない。
だって今からの帰り道、小鈴ちゃんが金本先輩と二人っきりだと思うと……。
哀れみなんかより不信感が募るわ。
「裕也、小池に手だすんじゃねえぞ。小池、なんかされたら俺に言え。こいつを半殺しにしてやるから」
痛がる金本先輩を指差しながら子鈴ちゃんに言い、小鈴ちゃんは困りながらも頷いた。
「わ……分かり……ました」
「じゃあな。裕也、手ぇだしたら覚悟しとけよ」
「分かったよぅ……。狂犬に殴られたくないからねー。今日は我慢するよ」
金本先輩、殴られたくないって言うけど、蹴りはくらってますよ?
蹴りはいいのですか?
金本先輩、今日は我慢するって言うけど、次は我慢しないのですか?
ていうか、まだ子鈴ちゃんに付きまとう気ですか?
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