迷惑

9/22

15341人が本棚に入れています
本棚に追加
/797ページ
「守ちゃんはあっち?だとしたらここから守ちゃんは帰り道一人にな」 「鬼塚帰ろぜ」 いきなり腕を引っ張られ、不覚にも菊原先輩にぶつかってしまった。 全身を襲う不快感に、体が固まってしまう。 「え? なに言ってるのー? 恭もこっぶくぅっ!?」 金本先輩は最後まで言い切ることはできなかった。 うちを掴んだままの菊原先輩が、金本先輩の横腹に強烈な蹴りをおみまいしたのだ。 体をプルプルと震わせて、横腹を押さえる金本先輩。 うちの時といい、菊原先輩の時といい、災難続きだね。 だけど哀れんだりはしない。 だって今からの帰り道、小鈴ちゃんが金本先輩と二人っきりだと思うと……。 哀れみなんかより不信感が募るわ。 「裕也、小池に手だすんじゃねえぞ。小池、なんかされたら俺に言え。こいつを半殺しにしてやるから」 痛がる金本先輩を指差しながら子鈴ちゃんに言い、小鈴ちゃんは困りながらも頷いた。 「わ……分かり……ました」 「じゃあな。裕也、手ぇだしたら覚悟しとけよ」 「分かったよぅ……。狂犬に殴られたくないからねー。今日は我慢するよ」 金本先輩、殴られたくないって言うけど、蹴りはくらってますよ? 蹴りはいいのですか? 金本先輩、今日は我慢するって言うけど、次は我慢しないのですか? ていうか、まだ子鈴ちゃんに付きまとう気ですか?
/797ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15341人が本棚に入れています
本棚に追加