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深い深い森。
入ったら出られない…そう言い伝えられるほどだ。
そこは、いま唯一、この国で残った龍のすみかである。
「ごめんなさい…ゆるして、××…」
若く美しい婦人は、そう言って赤子を巨龍に渡した。
巨龍は威風堂々とした、まさに龍の中の王者たる態度で婦人に応じた。
「心配めされるな、ご婦人よ。
この赤子、私が責任を持って育てよう」
「いいえ、貴方のような誇り高い方にお預けしますのに、心配などしておりません。
こうしなければならない自分が、情けなくて仕方がないのです」
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