望まれぬ子

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
深い深い森。 入ったら出られない…そう言い伝えられるほどだ。 そこは、いま唯一、この国で残った龍のすみかである。 「ごめんなさい…ゆるして、××…」 若く美しい婦人は、そう言って赤子を巨龍に渡した。 巨龍は威風堂々とした、まさに龍の中の王者たる態度で婦人に応じた。 「心配めされるな、ご婦人よ。 この赤子、私が責任を持って育てよう」 「いいえ、貴方のような誇り高い方にお預けしますのに、心配などしておりません。 こうしなければならない自分が、情けなくて仕方がないのです」 .
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!