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顕著な遅刻である。
始終フワフワしている玲さんを横に、晴れる気配も無く立ち込める濃霧の中、駅からの通学路に歩みを進める。
ベイカーストリートかエルム街みたいだ。悪い冗談にしか聞こえない。
前者は工場の排煙で黒く空気が色付けられ、後者は霧が立ち込めていたかどうかすら朧気だ。
どちらにせよ、良い臭いのする話ではなかったから、地上を這う白い亡霊のような演出が施されていなくとも、街灯で目が霞んで霧だと言いきれるかもしれない。苦しいか。
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