アレ探し

7/16
前へ
/63ページ
次へ
 アレを探して欲しいんです。  アレを探して欲しい。  アレを探して。  アレを。  何を?  空虚を積まれた歴史的不価値の塊であるらしいカタチのない思考の空回りは、左手側の窓から所広しと入り込む傾いた西日によく吟味されてしまって、然るべき平和の在り方に付いてゆっくりと宗教的な布教を耳許で囁かれれば馬耳東風、容易く頷いてしまうだろう、そんな午後の陽気。  澱みのない屈託な、優しい女神の笑顔のような包容力を持った、妄想が目に見えてしまいそうな空気なのだが、その女神の笑顔はもしかしたら業務接客用のお愛想笑いなのではないかという考え方も一概に否定出来ないのが恐ろしい。女神が人によって笑い筋の角度を変えているとは考えられない、皆平等笑顔。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加