裏切り

朝

眩しい光が辺りが部屋に差し込む。
どのくらい眠ったのだろう。流（ながれ）は重い瞼を開けた。下の部屋から声が聞こえてくる。静香（しずか）だ。
『流。早く起きてよ。』
どうやら呼ばれているらしい。
『寒い。』
流はそう呟き。服を来てから下におりた。流がクシャミをしながらおりて行くと。
『貴方また裸で寝てたでしょう。ほんとに露出狂じゃないの？いつか凍死するわよ。』
そんな事を言いながらも静香は流に笑顔を送った。
『おはよう。』
流は独特な低い声で言った。
流と静香は結婚して二年になる。高校三年の夏に知り合い。六年間交際していた。女に興味がわかなかった流が初めて興味を持った女だった。静香は美しかった。でも、それ以上に彼女の人間性に流は惹かれた。
そんな静香が向こうから声をかけて来た時。流は嬉しくて有頂天になってしまった。
『今晩は一緒にいられるか？』
流が改めてそんな話をしたので。
『当たり前でしょ。私はいつも流の帰りを待ってるわよ。』
っと静香は優しく頬にキスをした。
流が家を出る時に。
『俺、明日から出張で出掛けないといけない。』
と話を振られた時。静香は流はきっと寂しいのだろうと思って。
『わかったわ。じゃぁ、今夜は豪華な料理で待ってますわね。』
っと笑顔を向けた。
流は家の門を出た。今の幸せな生活を失うかもしれない怖さと、恐怖に流はかられていた。
『こんなの俺らしくないな。前向きに生きよう。』
っと流は気を引き締めた。