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会社に着いた流はいつもと変わらぬ毎日に逆に不自然さを感じた。スイッチを入れたコンピューターの画面には。流が作った会社のイメージアップCMが繰り返し映し出されている。流は某巨大メーカーの開発部一員だった。優秀な社員で多くの上司の期待を背負っていた。
『いつからだろう…。』
流は自分の過去を振り返った。
ある時、会社の上司に声をかけられた。企業秘密の大切な仕事らしかったのだが。流は期待されているのだと思って快く引き受けた。
そしていつもの会社では無く別の会社にいかされた。そこには会社の上司達が全員いた。会長・社長・副社長…。流は全員に深く頭を下げて挨拶をした。
上司はまず流にハッキングをさせた。ライバル会社のすべての情報を流はパソコンに読み取らせた。
その中の何個かは聞いた事のないような子会社だった。その訳を流は後で知った。その事実を知ったせいで、流の人生は大きく変わった。
そう、上司が持ち掛けた仕事は、誰にもバレずにその子会社の開発部を消すという事だった。
流は一瞬仕事を断ろうとした。しかし、すぐにやめた。流は悟ったのだった。そうすれば流も静香も消される事を。流は組織の恐ろしさを充分に理解していた。
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