何気ない始まり

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今日、蓮くんが小さなかごをぶら下げてうちに来ました。   「涼くん、あーそーぼー」   チャイムを鳴らさずに大きな声で呼んでいます。   僕は外で虫とりをしてたので、蓮くんに近寄ってあいさつしました。   「おはよう、蓮くん。そのかごの中に何入れてるの?」   蓮くんはもじもじしながら、かごを僕の目の高さに上げながら言います。   「…俺、明日から遠い所にお引っ越しするんだ。だから、こいつを涼くんにあげる」   僕が中を覗こうとかごを掴んだ瞬間、蓮くんはダッシュで駆けていき遠くから手を振りながら、 「大事に育ててねー!バイバーイ!」 と、逃げるように去っていきました。   突然の出来事にぼーっとしてしまったけど、何が入ってるのか気になってかごの中を見ました。     ………何も入ってない?   …空っぽのかごでした。 きっと蓮くんの冗談なのかなって思った。   でも、微かに羽音がしたのです。   …見えない何かがそこにいると感じました……。  
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