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「俺さぁ、うたのことムカついてた。
生意気なやつって思ってた」
真っ直ぐ前を向き話すアキの横顔を、わたしはいつになく真剣に見ていた。
「親、離婚してるの知ってるだろ?
もうちっちゃい頃の話し。」
そう言ってふっとアキは笑った。
寂しそうに…
「色々あってさ、人、信じてないんだ。
信じれないのかな、でもこんな俺でもナツだけは友達なんだ。
みんなよってくるけどさ結局見た目だけ、俺の中身になんて興味ねぇの」
そう言ってまたふっと笑った。
そしてタバコを消しながらアキは言った。
「でもよお前、本気だったじゃん。
初めっから本音だっただろ?」
ゆっくりわたしの方を見るアキ。
「コイツちびのくせにやるなって。
信じてもいんじゃね?って」
そう言って今度は優しく微笑み「な?」って、またくしゃって髪をなでた。
わたしはその時、アキを裏切らないって誓った。その時は本気でそう思ったんだ。
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