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一歩、一歩
ケンカをした次の日は何だか俊と顔を合わせづらい。
俊、怒ってるかな…
そう思った矢先に俊に声をかけられる。
「花、ちょっと来て!」
強引に引っ張られて向かった先は屋上。
…まさか別れて、とか言われちゃう?
悪い方向ばかりに考えてしまって、自分でも分かるくらいに目が潤んでくる…
「花…」
「…はい…」
これはふられちゃうな、そう思いながら俊の顔を見る。
俊はいつかの時とおんなじお日さまみたいな笑顔でこっちを見てた。
「…何で、笑ってるの?!」
「も~、花は…」
そう言って、俊はゆっくりとあたしを抱きしめた。
「は?!何で?どうしてっ!?」
一人パニックになる私をよそに俊は優しく微笑んだ。
「…花は心配し過ぎ。もっと俺のこと、信じて?」
顔を上げると俊の顔は真っ赤だった。
「…ふふっ」
「あっ、何笑ってるんだよ!」
「内緒っ(笑)」
俊の胸に耳を当てると俊の鼓動が聞こえる。
少し早いけど、規則的に打たれる俊の鼓動は心地良いリズムで。
「好きだよ。大好きだよ?いつまでも一緒にいてね。」
「…おぅ」
俊にはあたしだけだよ、なんて。
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