冒頭

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一昨年の五月。 父を失いました。 そして、ことの終わりのさなか、レベル5…母の癌の宣告を。 今年の二月にバイバイ。 父は山。母は海。 深海、未開な海。 それに対して、父とは違う個人的な想い。 父は私が中学生のときに他人宅の世話で、屋根から落ち、身体障害者になりました。 幾度もの大手術を乗り越えてくれました。 2008年 あの朝、もしも、障害で倒れたのなら、私は鬼になったでしょう。 とても、優しい父でした。嫌、と言わない無口な父でした。自分の障害で長年、働いた会社へ八割の給料でいい、と告げた、強い父でした。解雇になったときの父が焼酎を飲んでました。 …何となく…と 数年後、壁にある、深い穴がまるで、私の心の穴のよう。 早朝、寝ていた私を呼ぶ声は隣のおばさまでした。 チアノーゼで もう、死んでる、と思いました。軽く、病院勤めをしていたので、心拍は確認できても呼吸なく、人口呼吸をしても、私の息が返るだけで、その朝から、人工。 決断を決めるに際し、医師は勧めず、兄は、お前らが決めろ、と。母と私は生きて欲しい、奇跡を念いながら、延命を。 最後の最期まで優しい父でした。 僅か、一週間。 たくさんのありがとう を言えただけが… 二つの山は越えれても三つは難しいものだと、教えてくれた、父の置き土産。 お父ちゃん、ありがとう
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