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ぺたり、と音をたてて、冷たいタオルが優しく顔に充てがわれた。
「どうしたの?傷だらけだね」
優しくユチョンさんが問いかけてくる。
「いえ、なにもないです」
こんなにも顔を腫らしているのに何もないと言う僕に、ユチョンさんは静かにそっか、と言った。
「だいぶ熱も下がったみたいだし、寝ないと。治らないよ」
治らなくていい。このまま、ずっとこうしていられるなら、このままでいい。
そんな僕の気持ちを見透かしたように労わるように、冷たい手で体をさすってくれた。
あまりに心地よくて、落ちるように眠りについた。
「おやすみ、チャンミン」
ユチョンさんがそう言ったような気がしたけど、僕はもう何も言えなかった。
いまはただ、この優しい時間に身を委ねていたかった。
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