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「まっ、こんなもんか……」
「慎、凄いわね! それは何なのよ?」
慎が滑り終えた直後、霊夢がやって来た。
「あぁ、スノーボードって言ってな……スキーよりも簡単だ」
「へぇ~……カッコ良かったわよ♪」
淡々と話す慎に、霊夢は関心しながら笑顔で言った。
「言っとくけどね、オレにだってスノボー位出来るんだからな!」
止まりながら雑談している中に、和音と文が入ってきた。
「へぇ、じゃぁ和音も今の慎並に出来るの?」
霊夢は微笑しながら、和音に聞く。
「そ、その位……出来るさ……」
和音は言葉の最後をぼかす様に言う。
「霊夢、文……コッチに来い……」
慎はボードを外し、文と霊夢の腕を掴み、引っ張る。
「なっ、話はまだ――」
次の瞬間、和音に物凄い量の雪が降りかかった。
「秋風君、ゴメンね~」
外来人、薬師寺 玲医(やくしじ れい)が両手を合わせながら、和音に謝る。
「お兄ちゃんスッゴい速いね! もっとやろっ!」
どうやら、フランと共にソリで滑ってきて止まろうとしたところ、和音に雪が降りかかったそうだ。
「くそ……慎、玲医! 速さ勝負だ!」
和音はワナワナと震えながら言った。
「勝負? 普通はトリック何かを決めて――」
「うるさーい! 速さと言ったら速さなんだ! それともお前ら……逃げるのか?」
慎の言葉を途中で遮り、和音は小馬鹿にするように目を流しながら言った。
「慎さん、コレは受けるべき勝負です! 私の文々。新聞の為にも!」
文は力強く説得するが、最後に己の私欲が出ている。
「面白い……僕のソリテク、見せてあげるよ!」
勝負にのったのは、意外な事に玲医だった。
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