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「よくそれだけ持てたね……」
「ふ、この浴衣は収納性がばつぐんなのでござるよ」
ユリルの素直な感嘆の声に、シュウザは若干嬉しそうに胸を張る。
二人のやり取りはさておき、カルナは小瓶の前で何やらぶつぶつと一人事をつぶやいていた。
「これを木に……いや、そのままじゃないと意味ないか……だけど、この量だと……」
眉を潜めて険しい顔つき。
一つ一つ小瓶を手に取り、何かを確認するように小さく振る。
「ユリル、もしアンデッドを正面から相手にするとしたら、どれくらい持つ?」
「んーと、どれくらい時間を稼げばいいの?」
質問に対し、より正確な答えのために質問を重ねる。
「この油を周りにばらまく位の時間だ」
「ん、それくらいなら余裕だよ」
「じゃあ、頼む」
今度は、シュウザへと向き直る。
「この教会にある燃やせそうなものをありったけかき集めてきてくれ」
「承知」
言うが早いかシュウザはその場から消え、代わりに教会の中へと走っていく足音が聞こえる。
「リムナ」
「……なんだ」
今度はリムナへの問い。
「今の状態だと、どれくらいの重さの物を運べる?」
「……馬一頭分がようやくといったところだ」
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