波瀾の幕開け

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「ふぃー……」 家の前を去ったカルナの姿は、現在小高い丘の上にあった。 村の北の端にあるこの丘は、綺麗な円を描いている村を一望出来る。 ここから見ると分かるのだが、村は周りの土地より幾分か高い土地の上に作られており、村の外は森林が広がっている。 ここはカルナ含め、僅かな人しか知らない場所。 小高い丘、といってもほぼ崖のようになっており、とあるルートをたどらなければ辿り着けない。 やはりこの時もカルナ以外には人影はなく、カルナは崖に近づくと、そこに腰掛けた。 下は8メートルほどまで真っ直ぐに壁が伸びていて、所謂断崖絶壁というやつだ。 それでも、村全体から見れば小高い丘なのだが。 「……ふー……」 カルナは、懐からタバコを取り出すと、マッチで火をつける。 吐き出した白い煙は何もない空間を漂い、やがて消えて行った。
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