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カルナがこの場所を見つけたのは、9歳の時。
親に叱られ、家出を試みた時だった。
無我夢中で走り、どこを走っているのかも分からないくらい長い時間走りつづけた。
すると、いつの間にかこの場所に来ていた。
いつも見上げていたこの場所は、どうすれば辿り着けるのか分からなかったのだが、適当に走っていたら着いていたのだ。
その時はもう既に夜遅く、この丘で一夜を過ごそうとした。
親が下で必死に探していたのを見つけなければ、本当に眠ってしまったであろう。
その後も嫌なことがあるたびにこの丘に上り、物思いにふけっていた。
「はぁ……俺は普通の生活で良いんだよ」
今回は嫌なことではなく、ただ単に時間を過ごすためなのだが。
先程はイベントが起こって欲しいなどと言っていたが、カルナは平和主義者である。
平和に暮らすのが一番重要だと結論づけている。
しばらくカルナは、遠くの山を見つめながらボーッとしていた。
後ろに誰かが来ているのにも気付かずに。
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