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「はぁ……はぁ……」
「ふぅ……ふぅ……」
ようやく訪れた小休止にへたりこみそうになる膝に鞭打ち、肩で荒い息を繰り返す二人。
あれ以上戦闘を続けていれば、圧倒的な物量に押し切られていたかもしれない。
勇者と言えども万能ではないのだから。
「……さてと」
ようやく息が落ち着いたのか、額に流れる汗を拭いながら、クラウスは背筋を伸ばし、後ろを振り返る。
ミーナもそれに倣い、共に街を眺める。
二人を追い掛けていたアンデッドは街の方々に散り、今は大通りを均一に歩いているだけだった。
「これからどうしようか」
「……解決策を探ろうにも、街の外じゃ何もしようがないわ」
もし近くに街があれば何とかなったかも知れないが、残念ながらここからだと、近場の街でも馬で一日かかる。
さすがにカルナ達を置いていく訳には行かない。
「数は大量、体力は無尽蔵……スピードと力がないのは幸いだけど、カルナが心配だ……」
「一応、元魔王がいるから幾らか安心は出来るけど……」
しかし、リムナは聖剣に封印されているせいで、魔力は全盛期の1%もない。
とにかく、予断を許さない状況であるのは間違いないのだ。
「くっそ……」
思考だけが空回りし、解決策が浮かばない。
苛立ちに爪を噛むクラウスだが、状況は刻一刻と悪くなっていく。
そんな中。
「……もし」
突然、後ろからしわがれた声が投げ掛けられた。
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