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「ああ、くそっ!」
ひたすらに目の前に現れるアンデッドを斬り続け、半刻程経っただろうか。
辺りは完全に闇が支配し、未だ遠くに見える教会の尖搭と、その先に付けられている十字架のみが怪しく光る。
ちっとも先に進んでいる気がしないのは、精神的なもののせいか。
「うらっ!」
軽い気合いと共に振るった剣で、また一匹斬り飛ばす。
しかしそれを埋めるようにアンデッドは補充される。
いつまで経っても終わらない鼬ごっこ。
終わるとすれば、カルナが力尽きるか教会に辿り着くかの二通りのみ。
アンデッドは腐っているために肉質が柔らかく、剣を始めたばかりのカルナにも容易に斬れるのは不幸中の幸いだった。
「ちくしょう……!」
剣もそれなりの重量があり、それを振り回せば体力など簡単に持って行かれる。
その例に漏れず、カルナも荒く肩で息をし始めていた。
背中をリムナが守ってくれていなければ、とっくのとうにやられてしまっていただろう。
「ちぃっ……!」
さすがのリムナも、全方位を囲って余りあるこの数には手を焼いているようで、攻められないようにするだけで必死であった。
手から飛び出す光線がアンデッドを切り裂き、光球の爆発で体をバラバラに吹き飛ばし、光の棘が四肢を縫い付ける。
しかしそれでもなお次から次へと沸いて出てくる死体達。
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