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「ハァ……くそ……! ハァ……」
動悸と共に息切れが激しくなり、攻撃が雑で単調に、剣の軌道が大振りになっていく。
それに伴い傷も増えていき、満身創痍という言葉を体言している状態へと近付いていく。
「……っ!?」
正面から迫って来るアンデッドを一刀両断。
しかし、勢い余って地面へと突き刺さってしまった。
剣はかなり深くまで刺さっており、業物であったのがここで災いしてしまった。
慌てて引き抜こうとするが、焦り故に上手く抜くことが出来ない。
そして、その隙をアンデッドが見逃すはずもなかった。
津波のように、ドッと押し寄せてくる死体達。
リムナは後ろの敵への対処で手一杯、頼みの綱の銃をすかさず撃つが、前方180゚から襲い来るアンデッド達を押さえきれるはずもない。
(くっそ……!)
心で毒づき、ここまでかとカルナは目を暝った。
次の瞬間。
瞼を貫き通す程の紅の光が眼前を迸った。
「!?」
驚きに思わず見開いたその目は、カルナへと伸ばしていたと思われる、アンデッドの手が炭化して崩れ落ちる瞬間を捕らえた。
カルナを中心にして、3メートル程の、即席の炭の土地。
しかしそれでもアンデッドの再生力は衰えず、人の形を作ろうと、黒々とした炭が気味悪く蠢(うごめ)いていた。
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