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「カルナ大丈夫!?」
すたり、と軽快な音を立ててカルナの横に着地したのは、背から自身の象徴たる紅蓮の翼を伸ばしたユリル。
着地と同時に、再び迫り来るアンデッド達を灰に変換。
火は最もアンデッドに有効な攻撃手段ゆえに、この局面においてユリルは最大戦力かもしれない。
「い、一応は……無事……だ……」
カルナはゼーゼーと肺を鳴らし、地面に突き立つ白銀の剣を杖代わりにしながら答える。
「シュウザはもう教会に避難してる。
早く行こう!」
「シ…シュウザだけか?
クラウスとミーナさんは?」
「ううん、まだ来てない。
でもあの二人なら大丈夫なはず。
ほら、捕まって!」
燃え盛る翼を一振りし、ふわりと浮き上がったユリルはカルナへと手を伸ばす。
周りでは灰が徐々に人の形を取り戻し、包囲網を再形成している。
黒いヒトガタが取り囲むその光景は、身の毛が弥立つ(よだつ)ほどに気味が悪い。
「わ……分かった……って、抜けねぇ!?」
しかし、地面に食い込む剣は、まるで固定されているかのように固く、抜ける気配を見せない。
ぬぐぐ、と踏ん張るカルナの手に、リムナが降り立ち、その小さな手を添えた。
そして、
「……ふっ!」
リムナが軽く息を吐くと同時、それにつられたかのように抜ける剣。
体勢を崩したカルナが慌ててバタバタと回した手を掴むと、ユリルは一気に飛び上がり、教会へとその進路を向けた。
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