行き倒れと沈黙の森林街

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「A級の魔物に不死身のアンデッド……ちょっと、本気で逃走も視野に入れないといけないかもね」 険しい顔付きでそう言葉を紡いだクラウス。 夜明けは、やはりまだ遠い。 ─────────── 「くそっ! 教会は安全なんじゃなかったのかよ!」 誰に言うでもない文句を叫びながら、カルナは扉の前に椅子を積み上げた。 幾つかの穴が空いた扉の外から覗くのは、掃き捨てる程に大量のアンデッドの姿。 安全だと思われていた教会は一転、袋小路の大ピンチに陥っていた。 「多分、長い間魔物の障気に触れてたせいで教会の聖気が薄まっちゃったんだと思う」 落ち着き払った様子で、石像を積み上げたユリルが考察する。 即席のバリケードはいかにもバランスが悪く、アンデッド達の乱暴なノックのせいで今にも崩れそうであった。 「教会内を調べたでござるが、抜け穴は疎か使えそうなものもなかったでござる」 教会内を一人探索して来ていたシュウザが戻ってきた。 しかし戻ってきたからといって突破口が開けた訳でもなく、毟ろ唯一の希望が絶たれた。 「どうすりゃいいんだ……!」 「さすがに私でもこの数全部は倒せないかなー……」 「こういう時は慌てた者が負けでござる。 落ち着こうでござらんか」 シュウザはそう言うが早いかその場に座り、座禅を組み始めた。 「……いや、考えよう! 頼むから落ち着き方をもう少し考えよう!」 カルナは半ば絶叫のように懇願する。
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