行き倒れと沈黙の森林街

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「むう……カンナ殿は我が儘でござるな……」 「え、何? これ俺が悪いの? 何で俺責められてんの? あとそろそろ俺の名前覚えろ」 「あはははははっ!!」 もう耐え切れないと言わんばかりに、ユリルは腹を抱えて大きな笑い声を響かせた。 笑いすぎたせいで目元に浮かんだ涙を指の背で拭い、うっすらと笑みを浮かべたまま、口を開いた。 「こんな状況なのに……緊張感もなにもないね」 「主にこいつのせいでな」 「む、失敬でござるな」 カルナに人差し指でさされたシュウザは、本当に心外そうな顔で立ち上がった。 「言ったでござろう? こういう時は慌てた者が負けである、と。 少しは落ち着いたでござるかカルル殿?」 「お前、わざとこんなこと……? あと名前もわざとだよな……?」 「おっと、失礼シャルル殿」 「最早原形さえ無い!?」 何処までがわざとで、何処からが天然なのかイマイチ掴めないシュウザであるが、このような状況に場慣れしているのは事実のようだ。 はあ、と大きく溜息をついたカルナは、仕切り直すように頭を乱暴に掻いた。 「焦ったとこで何にもなんねぇしな…… とりあえず、状況を整理しよう」 「ん、そだね」 「了解でござる」
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