行き倒れと沈黙の森林街

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「解決策が見つからねぇ」 一通り状況の整理をしてみたところ、この結論に至った。 外では相変わらずアンデッド達が扉を破ることに精を出し、気持ち悪い程にひしめいている。 扉に開いた穴から見たところ、その群れを突破するのは至難の技であり、途中で力尽きるのが関の山というのが簡単に分かる。 空を飛んで行こうにも、飛べるのはユリルだけであるし、誰かを抱えて飛ぼうとしても、飛行型のアンデッドも群がって来ているので、下手をすれば撃墜される。 警戒して、割れたステンドグラスから入って来ないのは唯一の救いか。 「夜明けを待つでござるか……」 「だねー。 それ以外にすることもないし」 しかし、西の空を見れば(割れたステンドグラスの位置が西だった)まだまだ漆黒に包まれているし、今日の満月も見える様子がない。 「……それまで、この教会が持てばいいんだけどな」 今はただ、扉の耐久性を祈るのみ。 そしてそこで、 「……まてよ」 カルナが何かに気付いた。 「シュウザ。 昼に使ってた変な炎の術ってどういう原理だ」 「む、火遁のことでござるか?」 シュウザは浴衣の右の袖口に左手を突っ込み、ごそごそと何かを探しはじめる。 やがて、探し物を探り当てたらしく小さな瓶を取り出した。 瓶には何やら茶色の液体が並々と満たされ、ゆらゆらと怪しげに揺れている。
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