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――もう、恋なんてどうでもいいと思ってた。
貴方に逢うまでは――。
◆ ◆ ◆
「別れようぜ」
それは、高校の卒業式に、三年間付き合った彼に言われた言葉。
理由を聞いても、そんなのない、と言われた。
――普通の恋人同士だったと思う。デートもしたし、キスもした。これからも、そういうふうに付き合っていけると思っていたのに……。
こんなふうに呆気なく、幕を閉じた恋。
彼を責めようにも責められなかった。彼の全てが、私を拒絶しているように見えたから。だから、諦めるしかなかった。
ただ、その日から――恋をするのが怖くなった。
ううん、違う。
どうでもよくなった。
いつかは壊れるものなら、最初からしなければいい。そのほうが楽だもの。無駄に傷つくこともないし。
だから私は、知らなかった。
全てを投げうってでも、この恋を守りたいなんていう感情が、私にも芽生えることを――。
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