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「目標」からは。
否、今となっては、その「紅い鬼」からは、決して逃げられない。
それを理解したかのように、とうとうアインストらは、その動きを完全に止めてしまった。
人間で言うなら、「絶望」が、彼の者らに満ちたのだ。
『諦めたか。なら死ね。』
至近距離から放たれる三連マシンキャノン。
それに晒されたクノッヘンタイプの1機が、バタバタと下手なダンスを踊るかのように身を捩らせ、そして撃墜。
続いて、スクエアクレイモアがありったけ乱射される。
1つ1つ、特注製であるベアリング弾が、湯水のようにばら蒔かれ。
グリード、ゲミュート各タイプが、成す術なく撃墜に至った。
古鉄はこれで、スクエアクレイモアも、リボルビングステークも、三連マシンキャノンも全弾撃ち尽くしていたが。
「不幸」にも、本能的に咄嗟に身を固めたアインストアイゼンのみが、自身の堅牢さも相まり、撃墜を免れる。
『無駄にタフだな、パチ物。』
もはや、動くことすらままならないアインストアイゼンへ、古鉄はおもむろに近づいていき。
自身とも共通する、特徴的な頭部衝角を片手で掴み、もう片方の手でノド輪をかけるよう頸部を握り締める。
そのまま、角を持つ手で、頭部を引き抜こうと力を込めた。
アインストアイゼンは、手足をバタバタとさせながら、僅かな力で暴れる。
仮に、人間のように、言葉を発することができたなら。
必死に命乞いを行っていただろう。
死にたくない。
助けてくれ。
お願いだ、と。
『嫌だね。』
刹那、アインストアイゼンの首と胴はちぎれ、分かたれ、瞬時に絶命。
古鉄はそれを、まるで汚いゴミでも捨てるかのように、その辺へ放り投げた。
シンと、耳が痛くなるような「静寂」が場に満ちる。
宣言通りに皆殺しにされたアインストらはもちろん、教導隊、神鷹部隊いずれの「人間」も、誰一人、ただ一言も発することができなかったのだ。
しかし、それを破ったのもまた、他ならぬシンヤ自身であった。
『終わりました。命令通り、プラチナへ帰艦します。』
昂揚も、消沈もない、自然体の一言。
まるで、歳相応の少年のような雰囲気での発言である。
素であるのか、それとも一同に気を使ったのかはわからないが。
それでも、誰も口を開けずにいた。
しばしの沈黙の後、抑揚のない調子で、トラがプラチナへ通信を繋ぐ。
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