第二十話:晩夏の夜

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○ スコール社の社内ビル、指定のあった会議室へとフォッグ、アリーが到着した時。 その場には、連絡を寄越したクロードを含めて、他に5人。 トラ、マコト、シャオ、マナミ。 そして、アマノ議員の姿があった。 リョウタロウ・アマノ。 クレメンテ公国行き部隊の面子とは、ウィーンで一度会ったきりだが、日本行き部隊の依頼者。 そして、トラとマコトの実父ということくらいしか知らない。 しかし、それぞれお互いの間に流れる空気は険悪そのもの。 否、険悪を通り越し、殺伐と言っても過言ではないギスギスしたものとなっていた。 「アリー…………!!」 入室してきたアリーに気づき、笑みを浮かべながら近寄ってくるシャオ。 「シャオ………………!!よかった、元気そうで……………」 「うん………………ワタシは大丈夫。けど、マコトや、トラが……………」 先ほどからの淀んだ空気、その中心にいるトラとマコトへ、不安げな視線を向けるシャオ。 状況の全くわからないのは、アリーら、クレメンテ公国行き部隊である。 「カージュ……………」 先程の呼び出しも含めて、どういうことだと小声でクロードへ問うフォッグ。 「さぁな。こっちが聞きたいくらいさ。」 同じく小声で返すクロード。 どうやら、クロードも到着した際には既にこのような状態となっていたらしく。 とにかく、一触即発といった気配が濃厚のため、万が一にもとフォッグ、アリーを急かしたのだった。 アリーは、ある程度事情を理解しているだろう、シャオに質問をする。 「一体全体、どうしちゃったわけよ、この雰囲気は………………?」 「………………それが……………」 シャオの説明に耳を傾ける、クレメンテ公国行き部隊の3人。 アマノ議員が教導隊に依頼をかけてきた真意。 社内からの軍事機密情報漏洩の真相。 オペレーション・ペネトレイト発案の際のアマノ議員とのやり取り。 それらが、簡単にだが語られる。 「トラが無事に戻ってきたこともあって、事情の確認に呼び出したみたいなんだけど……………」 「なるほど。歓迎ムードにはならないわけだ。」 小さなため息を、一つ漏らしたクロード。 今だに、トラ、マコトらとアマノ議員の間に会話は一つもない。
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