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スコール社の社内ビル、指定のあった会議室へとフォッグ、アリーが到着した時。
その場には、連絡を寄越したクロードを含めて、他に5人。
トラ、マコト、シャオ、マナミ。
そして、アマノ議員の姿があった。
リョウタロウ・アマノ。
クレメンテ公国行き部隊の面子とは、ウィーンで一度会ったきりだが、日本行き部隊の依頼者。
そして、トラとマコトの実父ということくらいしか知らない。
しかし、それぞれお互いの間に流れる空気は険悪そのもの。
否、険悪を通り越し、殺伐と言っても過言ではないギスギスしたものとなっていた。
「アリー…………!!」
入室してきたアリーに気づき、笑みを浮かべながら近寄ってくるシャオ。
「シャオ………………!!よかった、元気そうで……………」
「うん………………ワタシは大丈夫。けど、マコトや、トラが……………」
先ほどからの淀んだ空気、その中心にいるトラとマコトへ、不安げな視線を向けるシャオ。
状況の全くわからないのは、アリーら、クレメンテ公国行き部隊である。
「カージュ……………」
先程の呼び出しも含めて、どういうことだと小声でクロードへ問うフォッグ。
「さぁな。こっちが聞きたいくらいさ。」
同じく小声で返すクロード。
どうやら、クロードも到着した際には既にこのような状態となっていたらしく。
とにかく、一触即発といった気配が濃厚のため、万が一にもとフォッグ、アリーを急かしたのだった。
アリーは、ある程度事情を理解しているだろう、シャオに質問をする。
「一体全体、どうしちゃったわけよ、この雰囲気は………………?」
「………………それが……………」
シャオの説明に耳を傾ける、クレメンテ公国行き部隊の3人。
アマノ議員が教導隊に依頼をかけてきた真意。
社内からの軍事機密情報漏洩の真相。
オペレーション・ペネトレイト発案の際のアマノ議員とのやり取り。
それらが、簡単にだが語られる。
「トラが無事に戻ってきたこともあって、事情の確認に呼び出したみたいなんだけど……………」
「なるほど。歓迎ムードにはならないわけだ。」
小さなため息を、一つ漏らしたクロード。
今だに、トラ、マコトらとアマノ議員の間に会話は一つもない。
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