115人が本棚に入れています
本棚に追加
それに辟易したかのように、マコトがポツリと漏らした。
「アホくさ……………なんか、怒るのもどうでもよくなってきたぜ……………」
ため息混じりの本音。
そして、スタスタと速やかに部屋を後にしていく。
「マ、マコト……………」
マコトと、倒れているアマノ議員、それを見下ろすかのようなトラを、一瞬交互に見比べたシャオだったが。
すぐにマコトを追うかのように、シャオも退室してゆく。
「ウチらは……………どうしましょうかね……………?」
「どうもこうもあるまい………………」
「か、会議室を変えるですぅ。行きましょう、皆さん。」
マナミに促される形で、次々に退室してゆくクレメンテ公国行き部隊のメンバー。
「…………………ちゃんと片付けておけよ、トラ。」
「ハイハイ、わかりましたよ、っと。」
最後にクロードを見送り、全員がいなくなると、再び静まり返る室内。
それを確認したトラは、適当な椅子をその辺から引き寄せ、おもむろに腰かける。
「…………………で。いつまで死んだふりを続ける気だ、親父。」
その言葉に、むくりと身体を起こすアマノ議員。
気絶したように見えたのは、まさに「狸」寝入りだったのだ。
「痛たたたたた……………あ……………歯、折れてる。もうちょっと、手加減してくれてもよかったんじゃないか、カゲトラ?」
もう腫れ上がりつつある頬をさすりながら、床に落ちていたカツラを再び装着しなおすアマノ議員。
無事とは言い難いが、取りあえず大事はないようだった。
「歯で済んでありがたいと思え。あのままじゃ、ホントに鉛弾をプレゼントされかねなかったぜ。」
そんな父親の様子を確かめると、着席したのも束の間、トラもさっさと退室にかかる。
「おいおい。肩くらい貸してくれてもいいんじゃないか、薄情だな。」
「甘えんな。そこまでサービスできるか。とにかく、これに懲りたら、色々と程々にしておくんだな。」
今だ立ち上がらずに座ったままのアマノ議員を押し退けるように、その背後の扉を開けながら、トラは言った。
「ハイハイ。もう火傷しないよう、努々気を付けることにするよ。」
どこか軽々しく返すアマノ議員。
学習はした。
しかし、反省はしていない。
そんな調子であった。
「チッ………………ホントにタチの悪いやつだな。ジ・エー………………エルガン、なんちゃら、だったっけか?」
最初のコメントを投稿しよう!