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そんな心地よい余韻に浸る中、バツが悪いといった体で、すごすごと戻ってくるトラ。
「ど、どうしたんだい、カゲトラ……………?」
「机と椅子、片付けるの、忘れてた……………」
「そ、そうか……………」
しばしの沈黙の後。
2人は、示し合わせたかのように、同時に動きだし。
そのまま、黙々と地味に片付け作業に入る。
その間ずっと、微妙極まりない空気はそのままであった。
いい話、それで終わりはしない。
マナミの思惑と多少はズレたが、そんな似た者親子どうしの「和解」は、なんとかだが成立したのだった。
○
「以上、クレメンテでの任務の報告事項となります。」
アマノ親子の騒動により、会議室を変えたマナミと、クレメンテ公国行き部隊の面子。
クロードの口頭報告と、各隊員から提出された報告書のチェックを、マナミが終えたところであった。
マナミの判断は、問題なし。
続いて、努めて明るい笑顔になるよう、気をかけながら一同へ言った。
「ご苦労様ですぅ。クレメンテ組も大変だったみたいですね。」
イギリスでの緊急依頼、テロリストの鎮圧。
クレメンテ公国、ビルセイア宮への敵部隊強襲。
恐らくはアザトース特務部隊と思われる2名との戦闘。
誘拐された女王の奪還、足取りのわかっていない、黒幕であったルガート大臣。
Wシリーズに、暗黒騎士と名乗る謎の援軍。
とにかく、目まぐるしく事態が変遷したらしいことだけは確かだと、マナミは理解する。
「それでも、日本みたいなカオスっぷりじゃなかったわよ。クレメンテ行きを選んで、ホントよかったわ。」
軽い調子で言うアリーであったが。
戦闘のあったアザトース特務部隊員のうちの1人。
フォウ・インシュンとは、かつて深い仲であったという。
戦場で、敵味方としての望まぬ再会。
アリーの胸中を思うマナミの表情は、重く沈んでしまう。
「アリーさん………………」
「そんな顔しないの、艦長サン。この通り、五体満足で帰ってこれただけ、めっけもんよ。ね、フォッグ?」
「ぬ………………嫌味か、貴様………………」
左目を覆う眼帯を、無意識になぞりながら、フォッグは呟く。
アザトース特務部隊員のもう1人、アルカンシエル。
フォッグに勝るとも劣らない剣腕の持ち主で、同じく斬艦刀持ちの特機乗り。
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