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事実、クレメンテ公国行き部隊の中では、単純な戦闘力の最も高いフォッグに、最も重傷を負わせる程の剣士。
「不肖の兄弟子。然れど振るう剣の冴えは、恐るべきものでした。アザトース特務部隊。外道なれど、侮り難い輩共です。」
フォウのベルゼリオンに成す術なく撃墜に至ったアリーへ、意趣返しとばかり目線を送るフォッグ。
「…………………何よ、ハゲ。」
「別に何も、年増。」
にわかにピリピリとしだす空気。
慌てて話題を戻そうとするマナミは、もう1つの気になっていた事項へ質問を行った。
「その……………このWシリーズの項について、ですが……………」
クロードの報告書。
そして、口頭から得た情報にはこうあった。
アザトースが研究、試作投入された、人造人間から成る特殊部隊。
EOTが利用されてこそいたが、その比率はそう多くはなく。
しかし、既存のクローン技術の延長上にあるため、脅威としてはわかりやすく、警戒すべきだと。
クロードは、その戦闘用に調整を受けた個体らと交戦したらしく、苦戦の末撃退とあったが。
「それと、このリリス・ブロウニングという少女、ヴァーシュ君の妹、とも………………」
ヴァーシュに妹がいたなどという、降ってわいたような初耳。
今回の任務の最中に偶然出会い、不幸にも命を落としてしまったとだけ、報告にはあがっていた。
「Wシリーズとヴァーシュの妹が何か?」
クロードは涼しい顔で答える。
嘘は言っていないが、隠し事はあるといった調子だった。
一応の整合が成された報告。
その上では、Wシリーズとリリス・ブロウニングの「接点」について、矛盾はない。
しかし、何らかの因果はあったのではないかと、伺わせる程度には匂う不自然さ。
とにかく、クレメンテ公国行き部隊の報告の中で、この項目のみが、奇妙な感覚を放っていたのだ。
マナミは、なおもクロードを見続けるが、動じる様子はない。
「いえ………………何もありませんですぅ……………」
これ以上の詰問は無駄だろうと、悟ったような表情をマナミは見せた。
すると、今度はクロードの側から質問が入る。
「ヴァーシュからの報告は?あいつの妹のことです。本人に聞いた方が早いかと。」
「そうですね。わかりましたぁ。」
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