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「ア、アンタも腰を痛めてるわけ、フォッグ……………?」
アリーの疑問。
「相違ない。」
フォッグは更に力強く言い放った。
「なった者にしかわかるまい。如何な戦場も可愛く見える、あの地獄の痛みを………………」
「そ、そうなの……………」
「ギックリハゲ……………」
小さく吐き捨てたシャオの言葉に、フォッグが若干傷ついた次の瞬間、マナミの捲し立てが再開される。
「こ、腰がなんですかぁ!!そんなの、ブリッジに高級マッサージチェアでも、経費で買って置いとけば済む話ですぅ!!」
スコールは内心、落ちるかそんなもの、とツッコんだ。
マナミの連撃は、なおも止まらない。
「とにかく、プラチナブリッジには………………教導隊には、副長が必要ですぅ!!だ、だから………………やめる……………なんて……………」
いつしか浮かび始める涙。
紡げなくなっていく言葉。
そんなマナミを諭すかのように、困ったような表情を浮かべながら副長は言った。
「もう大丈夫。教導隊も、プラチナも、そしてもちろん貴女も。だから、この老骨の気を汲んでくれますまいか?」
「で、でも……………」
これまで、幾度となく助けてくれた副官との突如の別れ。
不安。
マナミの胸中は、もっともであった。
逡巡するマナミへ、副長からの、不意の質問が飛ぶ。
「マナミ・ニノミヤ。指揮官の心得。艦長の仕事とは?」
それは、マナミが「かつて」副長からもらった、戦場に臨む艦長としての「答え」であり。
ある意味、オペレーション・ペネトレイトの要ともなった教えである。
「己を……………仲間を……………信じることですぅ……………」
「そう。貴女自身を信じなさい。仲間である私が保証します。そうでしょう、教導隊各員?」
「聞くまでもねぇっての、副長さん。」
「今までも疑ったことはないが、知将の太鼓判付きときた日には、な。」
「いくら馬鹿の集まりでも、これだけ数がいれば、なんとかカバーはできるわよん。安心なさい、艦長さん。」
仲間達からの声。
信頼の言葉。
マナミは、ついに言葉を詰まらせたが、目頭を強くこすり、涙を拭い始めた。
その眼光は、落ち着きを取り戻し、何より強い光を放っている。
副長はアポロから立ち上がり、ピシリと直立不動に構え、制帽を脱ぎ、改めてマナミに向き合った。
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