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首を傾げる川渡しに、密風は目を見開く。
「もしかして、魔法を知らないのですか?」
「初めて見た。不思議なものだな」
感心したように頷く川渡しに、密風は小さく笑った。
「魔法に驚かれるなんて初めての経験ですわ。この時の川があることの方が私には驚きです。本当にあるとは思いませんでした」
自分の後ろに流れる透明な川に目を向けて、少女は嬉しそうに目を細めた。
彼女の言葉に、川渡しは首を傾げながら問い掛けた。
「時の川を見に来たのか?」
「そうです。私の創造主が、その存在を確認する為に私を魔法で送り出されました」
「そうぞうしゅ?」
聞き慣れない言葉を呟くと密風は頷いた。
「はい。私は魔法を動力としたロボットです。人に似せた体の作りになっていますけど、体が重くて川底を歩いて来ました」
「ロボット? 人間と違うのか?」
「違います。私の動力は人間でいえば心臓部分に埋め込められた魔力で動くため、魔法が使えて創造主の研究を手伝うことが出来るのが何より嬉しいですわ。人間より丈夫な体ですので、多少の無理も平気ですの」
胸を張って誇らしげな少女に、川渡しは納得の表情を見せた。
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