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「ということで目安として明日までに決めてくれよ。オレ様は明日の昼に丘川公園に行くからな。お前らそれまでにゆっくり話し合って来いよ。じゃ、自由行動!」
言うが早いか、彼は開いていた窓から奇声を――「ふぉあっ!?」と言いながら出て行った。
後でタコ殴りにしてやる。
「陽色ちゃん、あの変な掛け声は、なあに?」
「あれだよあれ、私の防犯ブザー」
「へえ。おもしろいね」
適当にごまかし、二人で星家に行くことになった。
今日は二人で朝まで語ろう、と笑いあいながら。
「本当は私の家にお父さんたちが帰ってきて喧嘩したのも、エスピールに報告されて知ったんだ」
「なるほど」
知らないうちに糸がひかれていたとなると、不本意ながらもエスピールに感心してしまう。
「陽色ちゃん、これから仲良くしてくれる?」
「もちろん、こちらこそよろしくね。今までごめんね、春川さん」
「謝んないでいいの。ついでに名前で呼んで?」
「うん。よろしくね、……莉利奈ちゃん」
ダメっ!!よそよそしいからちゃん付けしないの、となぜか注意され、お互い名前を呼び捨てで呼ぶことになった。
なんだか新鮮で、嬉しい。
「陽色、なかよくしようね」
「うん。ありがとう、莉利奈」
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