星陽色・春川莉利奈

19/20
前へ
/371ページ
次へ
「よし、えらいぞ。で、結論は?」 私は一呼吸おいてから、エスピールに本を差し出して言った。 「やっぱり、もとに戻るよ」 「ほう」 「それが本来あるべき姿だしね。それに、私は莉利奈に莉利奈の外見でいてほしいし」 「わたしも陽色は陽色であってほしいし」 エスピールはふんふんと頷き、差し出した本の上に立った。 「後悔しないな?」 二人同時に頷く。 エスピールは嫌みのない笑顔になり、私たちの顔をじくり眺めた。 「うん、良い顔してるな」 「ありがとうね、エスピール」 「本当に、ありがとうございました」 照れくさそうに笑うエスピールにもう会えないとなると、やはり寂しいものがあった。 もうあの馬鹿な行動も見れないのか。 「じゃあ、オレ様が掛け声かけたら元に戻るからな」 何故かニヤニヤに戻ったエスピールが、そう言った。
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!

581人が本棚に入れています
本棚に追加