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「よし、えらいぞ。で、結論は?」
私は一呼吸おいてから、エスピールに本を差し出して言った。
「やっぱり、もとに戻るよ」
「ほう」
「それが本来あるべき姿だしね。それに、私は莉利奈に莉利奈の外見でいてほしいし」
「わたしも陽色は陽色であってほしいし」
エスピールはふんふんと頷き、差し出した本の上に立った。
「後悔しないな?」
二人同時に頷く。
エスピールは嫌みのない笑顔になり、私たちの顔をじくり眺めた。
「うん、良い顔してるな」
「ありがとうね、エスピール」
「本当に、ありがとうございました」
照れくさそうに笑うエスピールにもう会えないとなると、やはり寂しいものがあった。
もうあの馬鹿な行動も見れないのか。
「じゃあ、オレ様が掛け声かけたら元に戻るからな」
何故かニヤニヤに戻ったエスピールが、そう言った。
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