エピローグ

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不思議な一カ月のできごとだった。 あれから私と莉利奈と芽衣、あや子、高瀬君、白井君のメンバーで一緒にいることが多くなった。 初めは色々問題もあったけれど、二週間たった今は落ち着いている。 芽衣ともなんだかんだいって仲良くなれたし、あや子にもちゃんと二人で説明したら納得してもらえた。 まあ、しばらくは妖精について問い詰められて大変だったんだけど。 「陽色、莉利奈、明日遊びに行こう!」 元気な芽衣があや子と一緒に走ってきた。 「デザート食し会なり。ふっふーん」 「私に喧嘩売ってる?」 「陽色甘いもの食べれないもんね」 莉利奈が笑う。 ふわふわした満開の桜のようで、赤い頬が可愛い。 最近私は梨利奈が綺麗に透き通る茶色い瞳をしているのに気がついた。 目を見て話せるようになって、良かった。 梨利奈はそんな私の目を真っ黒で純粋だと言ってくれる。 「いいなー、俺も行きたいなあ」 「柾甘いもの好きだっけ」 「そこそこ好きだよ」 「そこそこ、で雨沢さんと莉利奈についていくと打ちのめされると思うよ」 白井君の気持ちはわからないけど、やっぱり結構話しかけられる。 正直はじめは戸惑ってもいたけど、今のところは芽衣ともうまくやっていけてるし問題ないかな。 高瀬君のことも、正直莉利奈の気持ちが届けば良いな、と思い始めた。 だって二人とも、お互いがそばにいるときすっごく幸せそうだから。 そんな二人をみているほうが、私も幸せな気がしてきた。 「じゃあ六人で行こう」 「六人って僕も?」 「そうだよ、当たり前じゃん!」 白井君が興味津々で嬉しかったのか、芽衣が張り切る。 こんな風に楽しい毎日を送れるようになって、本当に良かった。 遠回りだったけど、非日常的な体験もできたし、本当に交換なんてしたのかなんて思うこともたまにあるけど、エスピールのことだけは忘れないと思う。 そうだエスピール。 私、元の身体に戻っても笑うことができたんだ。 笑顔って大切だね。 一カ月かけて学んだことは、絶対に今後忘れないよ。 いつまでも過去にひきずられてちゃいけない。 幸せは、自分から求めないと来てくれないから。 -end-
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