星 陽色

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白い肌はいつも頬と唇だけ桜色で、肩までの髪は歩くといつも、さも柔らかそうに風になびく。 本当に花のような、可愛いらしい容姿。 それにピッタリとマッチした、優しくて穏やかな性格。 彼女、春川莉利奈(はるかわ りりな)は、クラスでもちやほやされるタイプの女の子だ。 成績も良いし、端から見ても仲が良い親友と呼べるだろう存在の林芽衣(はやし めい)さんもいて、本当に毎日が充実していそう。 それに。 私はこっそりと教室の後ろのほうの男子生徒の横顔を盗み見た。 ――春川さんは、高瀬君とも仲が良い。 三人共同じ公立中学出身らしくて、入学式の日から仲が良さそうに話していたのを覚えている。 私は少し遠い私立の中学から入学したから、顔見知りはほとんどいなかった。 あえて言えば小学校もここからは遠目の私立だったから、高校は徒歩通学できる距離なのに、同じ徒歩通学の人でも知り合いはいない。 まあ、知り合いがいるのが嫌だったからこの高校を選んだのだから当然と言えば当然だ。
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