3人が本棚に入れています
本棚に追加
肌を刺すような風が吹き抜けた。空からはちらほらと白い妖精達が舞い降りている。少々曇りがかった冬の空の下、私は高校へと向かって歩いていた。
辺りは早朝なだけあって人はあまり見ることもない。昨日から降り続く雪がうっすらと道を白く染めるだけ染めて、そこに足跡を残しながら歩く数少ない人々の中に、我が校の生徒達がいくらか見える。
高校に近付くに連れて制服やマフラーで身を包む生徒達が増えてきて、必然的に友達との出会いも産まれるのだ。
「あ、圭子(けいこ)ー。おはよう」
横を見れば坂を上がってくる同じクラスの友達、美香(みか)が駆け寄ってきた。防寒対策はセーターのみ。寒くないのだろうか。
「おはよう。今日は寒いねー」
「今年の初雪だからね。もう冬だねぇ」
間延びした声に暢気な台詞。それが美香の性格を良く表していると私は思う。いつも朗らかな美香は話していて飽きない友達だ。
「そういえば初雪か。今年のクリスマスとか、やっぱり一人なのかな?」
「その時は一緒にパーティーでもやろうよ」
「そうだね」
とはいえ、やっぱり私も彼氏が欲しい年頃だ。候補が居ない訳じゃないんだけど、好き嫌いの話になるとやっぱり怖じ気づいてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!