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「おい、お前ら。俺の召集に遅れるとは、いい度胸だな」
総隊長室に入れば、大きな木製の机に肘をかけたバロン=ターナーが、その隻眼を鋭くした。
「簡単な原理だ。あんたの声に女が引っかからないのと同じだ」
レクサスの言葉に、バロンの表情が凍る。何を隠そう彼は独身、恋人募集中なのだ。
そして、机の前の床に魔法陣が広がった。
「マーレ。‐エルストリアム‐」
魔法陣から飛び出したのは、長く白い鬣(たてがみ)を持った水色の小型龍。
バロンの希少能力の召還術は今だ健在だ。
「総隊長。お止めください。施設ごと吹き飛ばすおつもりですか」
呆れたように仲裁するのは、黒髪を後ろで短く縛ったクロス=インセント。
その傍らには、同じく黒髪で彼の妹であるサテラ=インセントも控えている。
「あっはっは。おじ様、出会いなんて運命だよー」
「総隊長……。俺には……、俺には……!
あなたの気持ちが痛いほどわかります!」
そんな光景を笑い飛ばすのはショートの茶髪を揺らすサラ。
しきりに頷いているのが、金の短髪のバルエル。
彼らは、クロスをリーダーとして、これで一つの隊として機能している。
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