‐清流の国‐

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「はっ!?ちょ、はぁ!?クロスてめっ……、はぁぁあぁあ!?」 「ちょっと総隊長落ち着いてくださいよー。いくら自分が結婚出来ないからってー、ぷふっ」 「レクサスてめぇは黙ってろ!この彼女持ちが!」 「そーだそーだ!」 バロンの言葉にバルエルが賛成して野次を飛ばす。 レクサスはニヤニヤしている。 女性陣は若干、呆れ顔だ。 「……総隊長。この任務、俺が外れるなんてことは……」 「無理だな。お前指名っていっただろ。お前の部隊員はいわばオマケだ」 わかっていた答えだが、クロスは肩を落とす。その表情には、ひどい哀愁までもが漂っていた。 「なぜ嫌そうなんだ?婚約者ならば、会いたいのではないか?」 「あぁ……」 フィアリアの言葉にクロスが顔を上げる。 少し、老け込んだようだった。外見というより、雰囲気が。 「実は……、俺はあいつが苦手でな……」 クロスは過去を振り返るような遠い目をする。 一同はしばらく何も言わず、別の世界に旅立ったクロスを眺めていた。
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