‐清流の国‐

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「さっき総隊長がな、後から部屋に来るようと言っていた」 レクサスが腰掛けているベッドに、寄り添うように座るフィアリア。 レクサスはしきりにマブタをこすっている。 「あの独身が……。自分から来やがれ」 「何を言っている。一隊員が総隊長を呼ぶなど馬鹿か君は」 フィアリアは溜め息をつく。相変わらず怠けぶりは治らない。 こと真剣になれば、キリッとクールでとてもカッコいいのにと、嘆かずにはいられない。 しかし、そう言いつつも普段の怠けレクサスの世話を焼くのも好きだったりする。 「……まぁ、いい。着替えるか」 そう言ってレクサスはノロノロと立ち上がり、ガーディアンの制服を取り出した。 制服は、魔力を通わせた糸で作った黒のスーツにネクタイ、それに薄青のシャツ。 機動性があるくせ、防御力も兼ねているというギルデノンの新製品だ。 元魔導帝たるフォルクスの知識の髄が詰まっている。 ちなみに、フィアリアの女性隊員用も同じものだ。 「着替え終わったけどー……、フィアリア。もちろん目をそらしてたよな」 「当たり前じゃないか全く。私を何だと思ってるんだ?」 「そのわりには顔赤いんだけどー?」 「……むぅ」 .
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