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『みっーつけた!!』
元気な声が森の中を響くと木の枝をつたって両手には短剣を持ち、肩に猿の精霊を乗せた少女が来た。
『早いな』
『獣の鼻の魔法を使って場所をつきとめたからね』
鼻を指さしながら曽根川は、自慢げに言った。
『上之宮の姿が見えないが別々に行動しているのか?』
『それは、どうかな』
『それならちょうど良い、二対一なら勝ち目が…』
俺が言いかけた時、木と木の隙間から無数の水弾が飛んできた。
『危ない!』
慌てて避ける俺と愛流
『行くのが速過ぎですよ、曽根川さん』
曽根川とは反対方向から息を切らして上之宮が木の影から現れた。
どうやら俺たちは挟み撃ちされてしまったらしい。
『これで役者が揃った訳だ』
『手加減しませんわよ 神山君、天美さん』
『本気で行っちゃうもんね』
『玲菜ちゃん・ひかるちゃん 宜しくね』
俺達は構えながら威嚇し合った。
一番初めに詠唱を始めたのは、上之宮だった。
足元は青く光、精霊は彼女の周りを中に浮きながら廻り始めた詠唱を終えた上之宮は大型車のタイヤほどの大きさの水弾を自分の頭上に構えた。
『行きますわよー!!』
上之宮は俺と愛流を狙って水弾を放った。
『よっと』
俺と愛流は横に跳び水弾を避けた水弾は、曽根川に当りそうになるが曽根川はそれを炎を纏った短剣で切った。
蒸発しながら真っ二つにされる水弾。
俺は、この挟み撃ちされた状況を変える為、霧の魔法を詠唱した。
辺り一面が濃い霧に覆われる。
霧に覆われると同時に愛流は大きな岩の上に移動し、変身魔法を使用した。
愛流が変身したのは狼の耳と尻尾を生やした賢狼ホロだ。
『わっちわちにしてやんよ!』
霧に覆われて目視では確認できないが狼の鼻を活かして愛流は、上之宮に向けて炎弾を放った。
『当ったれー』
炎弾は見事に命中し上之宮は崩れる様に倒れた。
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