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濃い霧が晴れると同時に愛流は驚いた。
倒れた上之宮が居る筈が、そこには、水たまりと上之宮のブレザーしかなかったのだ。
つまり愛流が放った炎弾が命中したのは上之宮ではなく上之宮が水魔法で作った分身だった。
『聖君が危ない』
愛流の心配は的中していた。
上之宮は既に詠唱を終えて聖に向かって水龍の魔法を放った。
上之宮の反対からは、曽根川が聖に向かって接近して行っている。
『うわぁぁ』
行き成りの展開に焦る聖
聖に攻撃が当たりそうな時、聖の半径二メートル高さ三メートルの土の壁が現れた。
その壁は愛流がとっさには発動した魔法だった。
『えっ、愛流か!?』
岩の上に目をやると愛流が安心した笑顔をしていた。
『ふぅ~間に合ったみたいだね』
間に合ったことに安心した愛流は肩の力を落とした。
しかしその油断が命取りに成ることを実戦経験の少ない彼女は知らなかった。
一瞬だった、曽根川は土の壁を三角飛びをして岩を登り愛流のところまで行った。
とっさに攻撃用に変身するが間に合わず曽根川の攻撃を受けてしまった。
『きゃ!!』
叫び声を上げる愛流
曽根川は攻撃の合間に愛流の鈴を奪った。『やったー!!』
愛流の鈴を掲げて子供の様にはしゃぐ曽根川
『愛流!!』
『ごめんね聖君』
申し訳なさそうに消えていく愛流
『くそっ!!』
拳を握って悔しがる聖
ゴロゴロ~
土の壁が上之宮の魔法によって崩された。
『よそ見をしている余裕が有りますの?』
水魔法を連発してくる上之宮
『先ほどから貴方は、逃げてばっかじゃないですか そんな逃げ腰で貴方それでも、本気で魔術師を目指しているんですの?』
『これでも本気なんだがね』
『なぜ貴方みたいな人がこの学園に入学したのか不思議でしょがありませんのっ!!』
『俺がこの学園に入学を決めた理由は、普通の学校に通うよりは面白そうだったからだ』
『そんな、そんな中途半端な理由の人に負ける訳には行きませんの』
上之宮は今までよりも明らかに大きい水龍を放つ準備をしている。
『やべーこれは避け切れない』
アニメや漫画だったたら、こんな時に空から美少女が降ってきて助けてくれるのだろうけど、
『さすがに無いよなそんなベタな展開』
俺は避けるのを諦め空を眺めようと顔を上げた瞬間俺の目の前は真っ暗になった。
『!?』
俺の顔の上に何かが乗っかっているようだ。
俺は乗っかっている物を手に取って見た。
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