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「…そうか、なら保健室行ってこい」
「はーい。」
授業中でだれも歩いてない廊下。スタスタと自身の足音だけが響く。
階段を下りた、一番突き当たりの静かな空間。
私は保健室へと入った。
真っ白な清潔感の溢れる保健室で、ボサボサの黒い髪に不釣り合いな白衣を着た初めて見る先生が机に突っ伏してぴくりとも動かずにいた。
近寄って見ると、小さな寝息を立てて眠っていた。
そういえば、新学期から保健室の先生が変わったことを思い出した。
「あの~、先生??」
「!!」
ズレた眼鏡も直さずに、がばりと起きてはきょろきょろと挙動不審に首を振った。
「寝てた!?」
ボサボサの髪の毛から覗く眠そうな目を向け、勢いよく私に聞いた。
「うん、寝てた」
「しまった~、また居眠りしちゃったよ…、あれ?君、どうかしたのかい??」
「あ、え~と…」
一人で騒いでいる、子供のような先生を見たら、仮病なんて回り口説い作戦なんか使う気にもなれなかった。
「暇だから、寝にきた」
「あ、そうなんだ?でも、まだ授業中じゃないかい?」
「いーの、いーの」
「ふーん、僕は構わないけど…」
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