先生

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強気になってみたり、素っ気ないふうにクールぶってみたり、本当は何に対しても臆病な自分を偽るためのもの。 独りが嫌でも、自分に独りが好きだって言い聞かせる。 大丈夫、大丈夫って思っても、常に不安が付き纏い心が小さくなってしまう。 故に、どうしようもない虚無感に襲われる。 全然大丈夫なんかじゃないんだ。 『…あぁ、また、切りたくなってきた』 何気なく、ふっと過ぎる悪いことに身体が犯されて、私は何度もそれを繰り返していた。 何か辛くもないし悲しくもない、自殺願望もないけど、何故かからっからになった思考回路が原因不明の靄で満たされる時は、いつも切りたくなる。 「雛子ちゃん?どうかしたかい??」 いつの間にかぼーっとしていた私を心配気に見ている先生が目の前にいて、私は調子が狂ってしまうのを恐れ、立ち去る事にした。 「もーいーや。何かサボる気も失せた。戻る。」 それだけ言って保健室を出た。
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