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お隣りの天見さんに修理を頼まれた、自転車のネジを締めてをいると、家のドアを叩く音が聞こえた。
ドアを開けてみれば、常連客のおばさんだった。
「ひかるちゃん、あとで家に来てくれる?」
「もしかしてまたあのミシン壊れたの?」
「そうなのよ。やっぱり新しいのを買った方がいいのかしら。」
おばさんの家は服店だ。
自ら服を作り売っているため、ミシンは必須なのだろうし、稼働率も普通の家庭からみたら比べ物にはならないだろう。
それにしても、一週間と経たぬうちに二回も壊れたのでは商売どころではないだろう。
「わかりました。あとで伺わせていただきます。あ、でも新しいの買ってもあまり変わらないはずですよ?」
苦笑いを浮かべ、ひかるが指差す先には、持ち込まれた品の中に大量に並ぶミシンの山だった。
「あらま、これなら買っても同じみたいだね。」
「やはりまだ、構造自体に耐久力が弱いんでしょう。」
「忙しいのに、悪いね。ひかるちゃんに何度も頼んで。」
申し訳なさそうに言うおばさん。
「いえいえ、気になさらないでください。いつでも修理しますから。」
ひかるの笑顔に安心したのか、おばさんは買ってきたばかりであろうりんごを数個ひかるに渡し帰って行った。
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