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まだお昼には少し早いが、おばさんにもらったりんごを二個ほど頬張ると、途中だった自転車の修理にかかる。
どこでどう使ったら、見事にこうも分解されるのか不思議でならなかった。
こうしてひかるの手にかかる前には、ほとんど組み立てる前の状態に近かったのだ。
自転車の持ち主である天見さんというよりも、破壊神天見愛流に聞いてみたところ無邪気な笑い声と共に、摩訶不思議な説明をされたものだ。
「あんね、あたしが河原まで行こうとしたら、林の辺りでクロネコちゃんがあたしにニャーって挨拶してくれたの。だからあたしもクロネコさんに挨拶しようとしたら…ボンッてなって、キャーのグィーンのドバーンだったんだから!」
「それで?」
「あたしが気が付いたらもう自転車がこんなことになってたんだ。だから直してよぉ。ね?ひかるならできるでしょ?」
「いいけど…あのさ、愛流は転んでケガしなかったの?」
「ほえ?あたしは大丈夫だよ。転ぶなんて、ひかると違って運動神経抜群だもん。」
腰に手をあて胸を張る愛流。
髪の毛の間に木葉が挟まっているが、直接は触れないでおこう。
「その触角は何も感知できないんだね。」
「触角じゃないの!アンテナなの!」
「宇宙人とでも交信してんの?」
「それは…あぁーもう!いいから早く直してよね!」
キャラが変わったように、物凄い勢いで告げると、お尻の辺りと背中の辺りに小さな羽を模った飾りが砂まみれになったまま帰って行ったのであった。
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