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しばらくして自転車の修理を終えた。
自転車のペダルをぐるぐる回しながら、ひかるはため息をついた。
「自転車はいいけど、この量どうしよう…」
山積みになった、ミシンやらラジオやらがひかるを困惑させる。
『一つずつ片付けるしかないな。』と自分にいい聞かせ、修理すべくラジオを一台手にとりまた机に向かう。
中を開けてみると、部品が一部破損していた。
ひかるはよさそうな鉄を手にとり、ハンマーで少し叩き始めた。
叩いている本人ですらうるさいと思う程の音が部屋中に響く。
「………さい!」
「…けなさい!」
僅かながらではあったが、人の声と金属じゃないものを叩く音がした。
無論ドアを叩く音でもない。
その音であれば、お客さんかとひかるの身体は反射するようになってきているからだ。
「うるさいな…。」
ひかるは構わずにひたすら叩く。
叩いて、叩いて凸凹を無くすのだ。
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