2人が本棚に入れています
本棚に追加
「開けなさい!!」
あまりにもしつこいその声は、どんどん大きさを増しやっと何を言っていたのか聞き取れた。
とぼとぼと、振り向いた。
部屋中を見渡すと、窓の外に人影を見つけてしまった。
次の瞬間、その人影があろうことか鍵を閉め忘れた、窓を開け高さがあるため、てこずりながらではあったがなんと家の中に入ってきた。
誰だか知らないけど、なんという世間知らずと心のなかで罵った。
「人が呼んでるんだから早く開けなさいよ!」
「人の家に用事があるなら玄関から入ってきなさいよ!」
ひかるは同じ口調で言ってやった。
その誰ともわからぬ不審者は、金色の長い髪が映える白いドレスを纏い、パールか何かのブレスレットをしていた。
容姿からは、裕福そうなお嬢様育ちであることはわかったが、だからといって勝手に人様の家を窓から入っていいはずもない。
「ちょっと、何よこの部屋!臭いんだけど?!よく、こんなところで生活できるわね。」
先程自転車に注したオイルの臭いや、金属類独特の臭いに彼女は慣れていないのだろう。
「臭くて申し訳ございません。外の空気でも吸いに出られたら如何でしょうか?」
嫌味ではなく、あくまでお心づかいと呼ばせていただこう。
「仕方ないから、ここで我慢してあげるわ。いい?私を匿いなさい。」
ひかるの言葉は無視され、上からの物言いを続ける不審者。
.
最初のコメントを投稿しよう!