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「上之宮様って…」
ひかるの声が掻き消されるほどの騒音…いや、大量な人の声がした。
「玲菜様はあっちだ!」
「玲菜様!!」
愛流のときとは比べものにならない、土を蹴る音が近づいてくる。
「はやく、何とかなさい!」
「愛流!これ借りるよ!」
上之宮様だかなんだか知らないが、不審者は誰かに追われていることは確からしい。
ひかるにとって大切な鉱物をくれる人、何であれ、困っている人を見過ごす真似ができないのも事実。
ひかるは窓から自転車を降ろし、後ろに上之宮を乗せた。
「ひかる!その人は…」
「…家に勝手に入ってきた不審者だよ。」
ひかるは、物凄い勢いで自転車をこいだ。
「優しく運転しなさいよ!」
「ごめん、しっかり捕まってて。」
二人を乗せた自転車は風のように走って行った。
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