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「あなた達、離してあげなさい。流石に苦しいと思うから」
お前のハイヒールがよっぽど痛かったよー。
よりによって踵で踏みやがって。
ヤクザ共はどこかへ立ち去り、やっと解放されたかと思ったら今度は少女に手を引かれる。
「……おい、執事ってどういう意味だよ?」
「来れば分かる」
俺が欲しいのは笑顔ではなくてちゃんとした返答だ。
主人がこんなんだから子分のヤクザ共もいい加減に育ったんだよ。
俺は繋いでいる手を離し、少女を引き留めた。
「俺の命が欲しいならさ、さっさと殺せよ。そっちが気が楽だ」
「……何が言いたいの?」
しかし少女は眉毛をハの字に曲げ、その様な他意は無いと続ける。
「…マジで言ってんの?」
「何回も言わせないで」
再び手を取り連れていかれる。
待て待て待て待て。
嘘なら帰るぞ俺は。さっきまで勘違いしてた俺が急に恥ずかしくなってきた。内臓がどうたら命がどうたら……恥ずか死!
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